権利
不揃いな羽音が耳元を擽ぐる
目覚めるとそこには天使が居た
不器用な笑顔で僕を迎えて
意味の無い世間話をさせられた後
やけに辛辣な面持ちで
僕は選択を迫られる
「あなたの記憶を全て消して生まれ変わるか
記憶をそのままに空から世界を見守るか
どちらか自由に選んでください
あなたにはその権利がある」
猶予期間は1週間
その間は自由にしてもらって構いません
多くの人は大切な物を確かめに行く
ただし1つだけ制約もあります
あなたは触れる事が出来ない
即ち誰もあなたに気付かない
「あなたの記憶を全て消して生まれ変わるか
記憶をそのままに空から世界を見守るか
どちらか自由に選んでください
あなたにはその権利がある」
実は僕はあまり迷わなかったんだ
でも便宜上少しだけ迷った振りをして答えを出した
次の月曜日、
天使はそれを望んでいたかのように
優しく頷き、そっと僕の手を引いた
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